不動産コンサルティングマスターの資格

私、美保。そう言えば今年の初頭に業界に関わるもうひとつ資格を取得しました。その名も「不動産コンサルティングマスター」。一応は、宅地建物取引主任者資格と同様に国土交通大臣認定の資格で、これまた宅地建物取引主任者資格と同じ財団法人不動産近流通代化センターが試験を行っているもの。試験の受験資格は不動産鑑定士・一級建築士・宅地建物取引主任者、いずれかの資格者で、試験に合格して各々の資格について5年以上の実務経験を有している人だけが資格者として登録ができるのです。これ、どんな時に必要な資格かと言えば。。。。

通常の不動産屋さんのお仕事と言えば、家や土地といった不動産を 


「売りたい。(から、買う人を探し、成約出来たら報酬を戴く。)」
「買いたい。(から、売物件を探し、成約出来たら報酬を戴く。)」
「貸したい。(から、借り手を探し、成約出来たら報酬を戴く。)」
「借りたい。(から、賃貸物件を探し、成約出来たら報酬を戴く。)」

といった、お客様のリクエストに応えられたら成功報酬として仲介手数料を戴く。

これ、昔から言われる不動産屋さんこと「周旋屋さん」のお仕事です。

淀川区に在住のAさん。
半年前にご母堂が亡くなり、山間部某駅から徒歩10分のところにある実家と田圃、占めて800坪の土地を兄弟3人で相続することになったものの、

●将来の過疎化も睨み、今のうちに売却して兄弟仲良くお金で分けるのがよいのか
●土地を3筆にして兄弟3人で分けるのか
●土地に賃貸マンションでも建てて収益運用するのがよいのか

普通の周旋屋さんに相談しても、仲介手数料の発生する「売りましょう。」の提案しか期待できないよ??こんなの誰に相談すればいいの?

西宮市のBさんは某社の代表取締役で80歳。
賃貸マンションを横浜市と神戸市に2棟と、西宮と尼崎に2つの月極駐車場を所有。自社株をはじめ、いくつかの会社の株も所有。預貯金も相応にある。そろそろ考えておかねばならない相続税対策。単純に税理士に相談するだけでよいのか?税理士は税には明るくても、どの不動産が一番高く有利に売れると知っている筈はない。これも誰に?

Aさんのため、該当法務局で登記関係の書類を集め、市役所で建築の制限を調べ、駅から現地まで歩いて街を調べ、近隣不動産の状況を流通機構で調べ、その土地が持つ色々な特性をプロとして把握し、どんな処理が最適かを報告、提案する。

Bさんと、Bさんの顧問税理士と3人で相談し、評価額が一番高くなった横浜のマンションをBさんの会社に売却し、駅に近い更地駐車場には、資金を会社に貸付けて会社がそこに賃貸の2階建てのハイツを建築する。これで駐車場は借地権の底地となるので相続評価上の減価が見込めるようすることにした。

こうしたAさんやBさんの相談への対応は、相続などの権利関係という点では弁護士、税務処理の関係で税理士、建物建築の視点に絡めば建築士ということにはなりますが、『その不動産をどうしたらよいのか、どうできるのか?』という観点からすると、弁護士も税理士も建築士も本当の専門家ではありません。その場所、その地域の不動産について、市場性、流通性、需要などの実務を知っている「周旋屋さん」的な人の知恵も不可欠。でも「周旋屋さん」のお仕事としては、何も成功していないのだから仲介手数料を受収するという話でもなく、そんな相談に無報酬で応じろと言われても困る話。

そこで創設されたのが不動産コンサルティングマスターの資格。その資格者は依頼者と事前に諸々協議の上、コンサルティングに関して宅地建物取引業法(平たい話が仲介手数料)とは別の次元で報酬を得てもよい。ということになっているのです。

実はこの資格、平成5年からあって、私も創設された頃に「受けようかな?」と思いつつ静観していました。が、私の周りの宅地建物取引主任者の資格を有する人の1/4くらいの人がこの資格を持ってはいるものの、「コンサルで報酬を貰った。」という話を一度も聞いたことがありません。なんで受験料30000円も払って取ったんだろう???

ま、試験勉強のため開いた本で、宅建と大学時代の経済論の復習にはなった気がします。